体調を崩した時に、急に食事の味の感じ方が変わったな、ということはありませんか?
仕事や人間関係、環境の変化といった様々なストレスを受けて、精神的にも肉体的にも疲労困憊な時、口の中が酸っぱいと感じる方もおられると思います。
何も食べたり飲んだりしておらず、口の中に何もないはずなのに、なぜか酸味を感じることもあります。
なぜそのように感じるのでしょうか?
その原因と対処法を見てみます。
口の中が酸っぱい原因は胃の不調の可能性

ゲップが出たり、胃酸が上がってくることはありませんか?
胸やけを起こしやすかったり、明らかに酸っぱいもの(胃酸)が上がってくるという場合には、逆流性食道炎を起こしている可能性があります。
吞酸(どんさん)と言ったりもします。
逆流性食道炎の原因は、胃と食道の境目にある筋肉(下部食道括約筋)のゆるみと言われています。
その背景として、加齢、過食、食事内容の欧米化による消化不良、肥満やベルトの締め付けなどによる、胃や腹部への圧力の上昇などがあると考えられています。
逆流性食道炎の診断のためには、内視鏡(胃カメラ)検査を受けましょう。
内視鏡で食道から胃にかけての粘膜を直接しっかりと観察して、炎症が起きていないか、何か病気になっていないかなどを確認します。
内視鏡検査は、口からだけでなく、鼻からの検査(経鼻内視鏡検査)も行われています。
おう吐反射のきつい方には、静脈内鎮静というリラックス方法も併用しながら検査をする施設もあります。
ご希望の方は、静脈内鎮静を受けることができるか、検査前に相談してみてください。
逆流性食道炎の主な治療方法は、生活習慣の改善、内服薬、外科的治療など様々です。
生活習慣の改善では、たとえば食事内容の見直しがあります。
カフェイン、アルコール、脂肪の多い食事は減量するなどして改善していきましょう。
肥満ぎみの方は、運動や食事内容の見直しで体重の減量を考えてください。
デスクワークの多い方は、イスと机の高さをチェックしてみましょう。
お腹の内部の圧力が上昇するような姿勢になっていませんか?
ぜひ、こういった点も見直して改善させていきましょう。
ストレスで口の中が酸っぱくなることも

ストレスが無いという方はほとんどいないのではないか、というくらい、現代は数多くのストレスに取り囲まれています。
仕事の内容、職場や友人との関係、親戚や家族との関係、将来の不安など、ストレスの原因となるものは多種多様です。
そして、そのストレスの強弱も様々です。
また、ストレスの感じ方も人それぞれです。
責任感が強い方、ポジティブな思考をお持ちの方、それぞれでストレスの感じ方も違います。
いずれにしても、強いストレスを感じていて、しかもそれが長時間に及ぶ場合、そのストレスに耐えるべく、体には様々な変化が起きてきます。
なかでも多いのは、交感神経が働く時間が長くなったり、体内のホルモンバランスの乱れが生じて、唾液の分泌量が減ったりすることです。
これが口の乾きにつながります。
そして、この口の乾きが、口の中が酸っぱくなるという変化をもたらすのです。
自律神経失調症が原因の可能性

体調が悪い時に「自律神経を整えましょう」などと言われることがあります。
この自律神経とはどういったもので、何をしているのでしょうか?
自律神経とは、内臓の働き、食べ物の代謝、体温を維持する・上げるといった体に関する維持機能を調整する神経で、交感神経と副交感神経の2つからなります。
交感神経は、体を活動的にする働きがあり、一方、副交換神経はリラックスして体を休める働きがあります。
この2つのバランスによって人間は活動したり、休憩するといった動きをしています。
この2つのバランスが乱れると、休むべき時に休めなかったり、動かないといけない時に体がついてこない、といった症状が現れます。
その乱れの1つとして、口の中が酸っぱく感じることがあります。
虫歯が進行している場合も
虫歯が原因となって、口の中が酸っぱく感じることもあります。
虫歯は虫歯菌が食べかすを分解して作り出す酸によって、歯が溶かされることが原因ですが、この酸のために、口の中が酸っぱく感じることがあるのです。
見えている部分だけでなく、被せ物や詰め物の下で進行する虫歯もあります。
神経を抜いている歯の場合では、気づくのが遅くなることもあります。
歯科医院での定期的なチェックを受けることはもちろんですが、口の中が酸っぱく感じたら、早めにかかりつけの歯科医院で相談しましょう。
早期発見により、より小さな侵襲での治療で終わるかもしれません。
口の中が酸っぱい時の対処方法
口の中が酸っぱく感じる場合には、いくつかの対処法を取り入れてみましょう。
口の乾きはありませんか?
長く続く緊張状態のために口の中が酸っぱいのでしたら、まずは水を含んでみましょう。
口の渇きを解決させてみて、それでも酸っぱく感じるようでしたら、口の中を清潔に保ちましょう。
歯磨きをしたり、マウスウォッシュを使うことも効果があるかもしれません。
長期間続く強いストレスによる味覚の変化について、よく取り入れられている方法は、生活のリズムを整えたり、脳にとって楽しいと思える時間を取ることです。
夜型の生活を朝型に変更する、という方法もあります。
趣味の時間を長くすることや、リラックスする時間を持つことなどもよいでしょう。
例えば、風呂上がりにゆっくりする、アロマ、瞑想、マッサージを受けるなどです。
それでも改善せず、長続きする場合には、早めに医療機関で診てもらった方がよいかもしれません。